トレーニング種目の中で人気の高いデッドリフトですが、どうしても腰が痛くなってしまうという方が多くいますし、相談もよく受けます。
フォームがそもそもおかしい場合も多いのですが、怪我などをしてるわけでもなく、きちんとしたフォームでやっているのに腰が痛いという場合は身体の状態が悪いのかもしれません。
原因となる筋肉や要因は多岐にわたるのですが、今回は広背筋に絞って記事を書きたいと思います。
広背筋について

広背筋とは背中についている筋肉でかなり広範囲についている筋肉です。
広背筋の付着部位ですが
起始が
- 第7-12胸椎の棘突起
- 全ての腰椎と仙骨の棘突起の胸腰筋膜
- 腸骨稜の後部 1/3
- 第9-12肋骨
- 肩甲骨の下角
停止が
- 上腕骨の小結節稜(前面)
となっています。
主な作用は上腕の内旋・内転、肩関節の伸展、肩甲骨の内転・下制など。
広背筋と腰痛の関係は?
広背筋が収縮すると前述の作用が全て起きるわけですが、収縮するということは起始と停止が近づくということ。
収縮時には肩甲骨は内転と下制が起き、腸骨稜(骨盤)は頭部側へ引っ張られます。
ということは広背筋が収縮すると背骨を後ろに反らせ、胸を張ったような姿勢になります。
デッドリフトの際には背骨を反らせる力が必要なため、広背筋がきちんと機能していないと背中が丸まった状態で実施することになります。
丸まっているときは背中の筋肉はストレッチされた状態になり、ストレッチされた状態というのは力が入りにくいため、腰痛の原因になり得ます。
ということはデッドリフトをすると腰が痛くなってしまう方は広背筋が弱い、もしくは機能していない可能性があると考えられます。
ここでは機能していないと仮定して、その解消方法をお伝えします。
広背筋を機能させる
筋肉が機能しなくなる原因は多岐にわたるのですが、今回は神経絞扼の観点からセルフで出来るアプローチをご紹介したいと思います。
神経絞扼とは神経が絞扼(圧迫)を受けることで、絞扼を受けると痛み、筋力低下、知覚異常などを起こします。
広背筋の神経支配は胸背神経なので、胸背神経がどこかしらで圧迫を受けると神経絞扼が起きてしまいます。胸背神経は脇の方から出てきている神経です。
どの部分で圧迫を受けやすいかと言うと、大円筋のあたりや、前鋸筋のあたりです。

このあたりで癒着が起きていることが多いため、トレーニング前にフォームローラー等でほぐして広背筋が正常に働くようにしてから実施するとよいでしょう。
やり方は下の画像のような感じです。この画像の位置だと当たっているのは前鋸筋の下の方ですので、本来はもう少し上の方です。大円筋に当てる場合はこの体制で脇の下に当ててください。
また写真よりも身体を少しだけ後ろに傾けている方がよいでしょう。

広背筋の機能低下が片方だけ起きると、左右で筋のテンションが異なるため背骨の位置が悪くなり、痛みに繋がったりします。
ネットで『腰痛 右』、『腰痛 左』とかで検索している方が多いようなのですが、そういった方は高い可能性で痛くないほうの広背筋の機能が低下しているはずです。
また、状態が悪ければ当然デッドリフトだけでなく、スクワットでも左右差が出ます。左右差が出ている方は今回の内容を参考にしてみてください。
それでも腰痛が改善しない場合は?
広背筋が正常に機能することで腰痛が出る可能性は下がりますが、もしデッドリフトやスクワットなどの腰に負担がかかる種目を頻繁にしている場合は話が別です。
その場合の問題点は腰部周辺の筋肉の蓄積疲労です。
また、宅配や倉庫内作業などの腰に負担がかかりやすい仕事をされている場合は仕事でも疲労が蓄積している可能性が高いです。
そのため、そういった方は競技で絶対に必要な場合を除き、腰に負担がかかりにくいトレーニングを考えていく必要があります。
背中のトレーニングであれば懸垂や斜め懸垂、脚のトレーニングであれば片足スクワットやヒップスラストなどが腰への負担が少なく出来る種目です。
『背中にはデッドリフトが必須!』と盲目にならずに、目的や自分の身体に合わせて柔軟にトレーニングをかえていきましょう。
【関連記事】スクワットの左右差の原因5選
【編集後記】
昨日は専門学校の授業日でした。実技のため立ちっぱなしで3コマ連続でするのですが、終わったら足がパンパンです。今から銭湯に行って温冷交代浴でリカバリーしてきます。